FXとお金
自分が楽をして儲けるには、お金を働かせるべきだ。そういう意味ではスワップは我々の大きな武器だ。スワップ金利がきちんと入ってくるように運用すれば、休日や寝ている時も収益が入る。為替変動のリスクもあるが工夫次第で、個人でも安定収益が得られるのがスワップ取引なのだ。本連載ではこのスワップ取引の魅力と仕組みを紹介していきたい。外国為替証拠金の“証拠金”の意味とは?  まず押さえておきたいのが、外国為替証拠金取引(FX)は自己資金を使って為替の取引をするのではないということだ。自己資金はあくまで証拠金、担保として取引会社が預かる。為替取引で利益が出れば証拠金、担保が増加し、損をすれば減少するのだ。証拠金そのものを使って為替の売買は行われないので勘違いしないようにしよう。 FX取引、FX初心者、くりっく365、 FX口座開設、FX資料請求 スワップの仕組みを整理  実際の外国為替の取引はお金を借りて行う。売る通貨を借りて、買う通貨で運用するということだ。例えばドル買い円売りをする時は現在の金利状況では円を0.5%で借りてその資金でドルを買い、買ったドルを5.25%で運用することとなる。そのドルの運用金利5.25%と円の借り入れ金利0.5%の差である4.75%がスワップ金利ということとなる。外国為替の取引ではそれを何%という金利で表さずに、具体的に1日何円手に入るかを表示している。  つまりドルと円の金利差が4.75%の時は、ドル円相場が120円で1万通貨を買うならば、 120円×4.75%÷365(日)×10,000(通貨単位)=156.16円 となり、1日あたり156円が証拠金に加算される。ドルを売って、円を買う時は、この逆となり1日あたり156円が証拠金から差し引かれる。  どの通貨を売買するにあたっても、売る通貨を借り入れる金利と買う通貨に投資する金利の差がスワップ金利という。高金利通貨を買い、低金利通貨を売る場合はスワップ金利が受け取ることができる。低金利通貨を買い高金利通貨を売る場合はスワップ金利を支払うこととなる。  通常、外国為替証拠金取引業者は1日あたり受取る金利差を+(プラス)、支払う金利を-(マイナス)で表示している。 実際のスワップ金利差の表示方法  スワップの金利差はどのようにして表示されるのだろうか。例えば2007年8月のある日のスワップ金利は以下のように表示される。 スワップ金利はいつ付くのか=ロールオーバー  スワップ金利は為替のポジションを翌日に持ち越した時に加減される。これをロールオーバーという。通常ニューヨーク時間午後5時にロールオーバーが行われる。  外国為替の収益はこのスワップ金利と為替相場の変動で得られる売買差の2つだ。スワップ金利差益と売買益が証拠金に毎日加減される。 FX  FXの儲け方には、「デイトレ」と「スワップ金利狙い」の2つがある。次にこれを見ていこう。 FXの収益は変動とスワップの2つ  外国為替取引の収益は売買益とスワップ金利差収益の2つからなる。1973年から主要国で変動相場制度が採用されて以来、年間40〜50%動く通貨があったり、1日でも1%動くこともあり、為替取引とは売買益を狙うものと理解されているのが一般的だ。プロと言われる銀行の為替ディーラーはこの売買差益を狙う取引をしている。売買差益を狙うのも為替取引の醍醐味の1つだ。これを変動益狙いとする。  もう1つの為替取引の収益は高金利通貨を買い、低金利通貨を売って金利スワップ益を稼ぐ取引だ。これを「スワップ狙い」と呼ぼう。 最近の為替相場変動の特徴  為替相場は固定相場の360円時代からプラザ合意を経て1ドル79円75銭をつけるまでは、おおむね円高推移かつその大きな円高のトレンドの中で乱高下したが、最近は比較的安定していて年間の値動きも10%以内で収まることも多い。一攫千金を狙っても昔ほどの変動はしなくなっている。  これは当局の姿勢が為替相場変動による貿易不均衡是正よりもインフレ収束に向かって為替相場を落ち着かせたほうが良いと考えているからだろう。自国通貨の大きな変動はインフレ率も大きくぶらすことになり、大きな変動に対しては、当局が金利調整、為替介入などを使って安定させるようになった。変動幅が小さくなってきて、行ったり来たりする展開が多いので一方向にポジションを持って変動益を狙うことは以前より難しくなっているかもしれない。  為替通貨には株のような1年で倍になったり逆に半分になったりすることはない。また行ったり来たりすることが多くなったので変動益を狙うには常に相場に密着しなければならなくなる。為替取引を専業とする人には都合が良いが、片手間で取引時間も少ない人には効率的な売買はいささか難しくなってきたように思う。  一方、スワップ益狙いは、銀行のディーラーのように毎月、毎年の決算を気にしなくていい個人向けかもしれない。年間得る金利差は3%から9%程度だが、これを数年から10年程度続けていると金利収益で50%から倍増まですることとなる。1日当たりの収益は少ないが、確実に入ってくる収益である。積み重ねで増えていくが、変動狙いと異なり、時間軸を長くとることのできる人でなければいけない。現在、為替では数年でも50%も動かない。だが金利差収益では50%を得ることも可能なのだ。 変動狙いとスワップ狙いは時間軸が違う  変動狙いとスワップ狙いは時間軸のまったく違う取引と理解してもいいのではないだろうか。時々「金利差なんて為替変動差損でふっとぶ」という人もいるが、逆に「為替の変動差損なんてスワップ益で簡単にまかなえる」とも言える。時間軸の捉え方の違いだ。 変動狙い、スワップ狙いは長所短所がある。もちろんどちらかに傾くことなく両方の勘定を持つこともできる。また変動でもスワップでもレバレッジを効かせることができる。ただレバレッジを大きくすることは変動で損をする可能性も高くなる。 FX  レバレッジを2倍にすれば50%変動すれば証拠金がなくなってしまう。10倍なら10%で、100倍ならわずか1%で証拠金がなくなってしまうことは理解したい。ここ最近の変動率を考えれば、長期的なスワップ狙いではレバレッジ2〜3倍までが安全圏だろう。また金利収益を証拠金に貯めていけばレバレッジも低下する。  一方変動狙いはレバレッジというより1日あたり、あるいは1回の取引当たりで自分が失いたくない金額を先に決めてそこで損切りすることが重要だろう。レバレッジを大きくすることは自己資金が小さくなり安全度は低くなることは認識すべきだろう。もともと100出資すべきものを50あるいは20、10で済まそうとする虫がいい話とも言える。虫のいい話にはリスクがともなうことも理解したい。 取引業者の選び方  取引業者の選び方も初心者にとっては悩みどころだ。 FXのスワップ金利を利用すれば、レバレッジ2〜3倍に設定することで、年収1000万円が可能だ。ただ短期では達成はできない。10年単位での運用が必要だ。今回は私の例を用いて説明しよう。狂った「私の老後計画」  1990年頃、30代半ばを迎えた私は、始めて老後のことを考えて投資というか貯蓄的なものを開始した。当時は日本興業銀行や日本長期信用銀行などが5年物利付金融債を発行していた。バブル経済の頂点だったこともあり金利が税引き後で年率8%あった。  5年複利で運用するワイドというニックネームをつけられた金融商品だった思う。60歳まで一生懸命働いて1億円くらい貯めてこの商品で運用すれば利息で年間800万円程度入ってくるので年金と合わせれば働かないで年収1000万になると考えた。 ただそうは問屋が卸さないもの。5年満期を迎える1995年には金利はその半分の4%となっていた。バブル崩壊が始まり、株価も3万8000円から2万円割れとなっていたからだ。  1990年に考えた取らぬ狸の皮算用は成り立たなくなり、金利収入年1000万円を得るには2億円貯蓄しなければならなくなっていた。当初の倍の貯蓄が必要となり、自分でも「無理かな?」と思った。  さらに5年後の2000年では金利は銀行破たん、デフレ景気で1%と低下していた。最初の1000万プランを達成するには10億円貯蓄しないといけなくなってしまった。努力してもどうなる数字ではない。宝くじに当たっても無理だ。 海外ジャンク債へ 成功と失敗を味わう 「もう日本の低金利には頼れない」と思った私は海外の高金利に走った。 海外の高金利を探し、ブラジル、メキシコ、ハンガリー、ウクライナ、アルゼンチン、南アフリカなど外貨建てなら10%を超える債券を見つけることができた。また日本の銀行の外貨建て劣後債(返済順序が後になるのでリスクが高いが金利も高い債券)も10%近い利回りのものがあった。  もちろん為替リスクはあるが当時から長期に持てば金利収入が為替差損など軽く賄ってくれることはわかっていたので躊躇せず投資した。 FX  96年に南アフリカランド債10年物を購入したが年利回りは13%、為替は今から思えば驚くべき高値の1ランド26円で購入した。  昨年南アランドが16円の時に償還。為替差損は10円で38%の損、年率3.8%の損となる。ただ利回りが年率13%なので合計すると、 13-3.8=9.2% で、9.2%となり、まずまずの運用となっている。この運用を10年間続けた。 FX 9.2%×10年=92%  すると元本が10年で92%増えた。このように高金利通貨投資は長くもってこそ旨みが出てくる。1年、2年だけの保有で為替差損がどうのこうのというのは高金利通貨投資の原点から外れている。  他の10%超の高金利投資も概ね成功した。最近10年では円安傾向なので高金利も為替差益も得られるダブルメリットもあるが、当時の投資では為替差損が少々あっても高金利だけでも日本の低金利に投資するのとは違い10倍以上のリターンがあった。ただ2つ失敗したものがある。ウクライナ債券とアルゼンチン債券だ。